口腔機能低下とフレイル

以前のブログにて高齢者のフレイルを防ぐための筋トレなどの運動の重要性を取り上げましたが、高齢者は歩行速度や筋力の低下により疲れ易くなるために運動量が減少し、筋肉量が減る状態「サルコペニア」になり易いと言われています。

加齢による虚弱化を意味し、2014年に日本老年医学会が提唱した概念⇒“虚弱”を意味する英語のfrailtyの日本語訳)

フレイルの予防には運動栄養、そして社会参加の3点が必要な条件であると言われていますが、最近新たに「口腔機能低下症」がフレイルにつながり、寝たきりで要介護の状態になることが注目されています。咀嚼(噛む)嚥下(飲み込む)唾液分泌などの機能が低下する症状が現れる病態です。20184月に歯科領域の新たな病名として認められました。「口腔機能低下症」を予防するには歯周病・虫歯治療、適切な歯磨き、唾液分泌を促すためによく噛んで食べる習慣(柔らかい食べ物やサプリメント・栄養補助食品にばかり頼らずにバランスの良い食事を心掛け、自分の歯あるいは義歯で食べ物をよく噛むことが重要)などが推奨されます。

コロナ禍で高齢者が自宅に閉じ籠りがちになっていますが、フレイルの高齢者が増え、さらに日本認知症学会の調査によると高齢者の認知症症状が悪化するケースが増加していることも報告されています。

長引くコロナ禍ですが、少しでも散歩などの適度な運動を心掛け、さらに口腔内ケア・咀嚼(噛む)にも注視したいものです。天気が悪い時には自宅内でもスクワットをしたりして筋力強化はできます。適度な運動栄養バランスの良い食事、そして口腔内ケア・咀嚼の3つが健康寿命を延ばすために重要な要素であると思われます。