渡哲也さんが旅立たれました

先日、俳優の渡哲也さんの訃報が流れました。思い出すのは学生時代、ゼミの仲間と東京から関西方面に移動する新幹線グリーン車中に何と渡さんがいました。角刈り、薄茶のサングラス、隣席にはこわもてのマネージャー(?)らしき男性。芸能人に対してはあまり興味なかったのですが、渡さんは特別でした。渡さん主演の深作欣二監督映画なども鑑賞、感動したこともあり、独りで渡さんの座席に出向き、自分の手帳にサインをお願いしました。渡さんは表情一つ変えることなく洒落た万年筆でサインをしてくれました。その際、「渡さん、深作欣二さん監督の映画『仁義の墓場』を観ましたが、あれは素晴らしかったです。本当に感動しました!」と話し掛けました。すると、急に相好を崩され、心底嬉しそうに私の顔を見上げながら一言、「おう!」と深い感激の歎声(たんせい)をもらされました(渡さんは座席から立ち上がられ、私と男同士の固い握手をしてくれました)。

渡さんと言えば豪放磊落なイメージですが、豪胆かつ繊細な方だったように思います。また一人昭和を代表する大スターが旅立たれました。衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。