満三歳

上野公園に近い文京区根津2丁目(文京区と台東区池之端境目付近)にNCカレーを新規開店し、早いもので昨日5/9(土)で丸3年経ちました。ようやく満三歳になった感じです。昨夜もオープン当初から通い続けてくださっている常連のお客様がご家族でお見えになり、こちらからは一言も開店3周年については言及しなかったのですが、お帰り間際にお客様より突然「NCカレーさん、3周年記念、おめでとうございます!」とお声を掛けられ、しかも心温まるプレゼントまで頂戴しました。本当に感無量の思いでした。また、つい数日前、当店を初めて利用されたお若い女性のお客様はチキンカレー大辛を召し上がられ、「久々に心の底から美味しいと思えるカレーに出会えました!」との大変嬉しいコメントを頂きました。

今までの来し方を振り返ると、自分の思い通りのカレーの味を安定的に創り出せず、またお客様へのカレーやおつまみの提供の時間が掛かり過ぎて、多くの方々が不満を感じられたことと推察します。毎日、自宅から店まで往復3時間掛けて通い続ける電車内でもカレーの味をもっと良くし、料理の提供時間の迅速化をひたすら考え続けて来ました。反省と創意工夫の毎日でした。

新型コロナ感染が完全に収束するまで、まだまだ時間を要するものと思われますが、少しでもお客様方が元気になられ、そして身体に良いだけではなく、心の底から美味しいと感じて頂けるようなカレー、おつまみ創りにより一層、一意専心いたします。

今後も反省と創意工夫の毎日は続きます。

日常の心構え

新型コロナウイルス感染症の全世界的流行は大変困った問題ですが、一方では色々と考える機会を与えられたとも思います。人間というものは何か厄介な問題が起きないと意識や考え方を変えない傾向がありますが、日頃から健康管理に注力し、免疫力の高い身体を獲得・維持することも新型コロナ対策としては有効であると思われます。

なお、以前のブログにて国内で110歳以上の超長寿者がウイルス感染細胞やがん細胞傷害活性を持つキラーT細胞(CD4陽性キラーT細胞)が血液中に多く発見されることを報告しました(理研と慶應医学部研究チームによる研究成果;2019年米医学誌に掲載)。なお、一般的にヒトの血液中にはCD4陽性キラーT細胞数は非常に少なく、大変興味深い研究成果です。

通常、70歳を超えると免疫力が弱まり、肺炎などの感染症や癌などに罹り易くなります。100歳を超えるまで元気に長生きできたということは、それまで数々の重病リスクを乗り越えて来た証左です。日本の長寿者はパンよりはご飯、味噌(みそ汁)、漬物、納豆、ヨーグルトなどの醗酵食品、野菜を中心とした食物繊維、乳製品、適量のお肉、焼き魚などの日常的な摂取が多いようです。新型コロナに感染した場合、日頃より栄養バランスの良い食事、適度な運動・睡眠を心掛けている人々は病状が軽くなる可能性が高いと思われます。

暫くはコロナ惨禍が続きそうですが、店主はより一層自身の健康管理に留意し、このような状況下でもご来店頂いているお客様方に少しでも元気になって頂けるようなメニューを提供するために反省と創意工夫の日々です。

歯周病はアルツハイマー型認知症を悪化させる?

超高齢社会を迎えている日本ではアルツハイマー型認知症患者が増え続けています。2018年に日本歯周病学会会誌に非常に興味深い記事がまとめられていました。その内容を以下に要約します。

近年になって歯周病とアルツハイマー病に関する疫学調査が盛んに行われるようになり、健常者と比較し、アルツハイマー病患者では歯周病原細菌に対する抗体価が有意に増加していることが確認されている。また、アルツハイマー病患者の脳内からリポ多糖(LPS)が検出され、LPSによってミクログリア(脳内で免疫防御を担う)が活性化され、脳炎症およびAβ(Aβはアミロイドベータの略。脳内に蓄積し、アルツハイマー病に重大な影響を与えるアミノ酸ペプチド)の産生・蓄積ならびに認知機能障害を引き起こすことが報告されている。アルツハイマー病モデルマウスの口腔内に直接LPSを投与し、実験的歯周炎を作成。さらに、マウスの認知機能を評価するために新奇物体認識試験を行い、LPS投与群と非投与群間で比較した。その結果、LPS投与群の認知機能が非投与群と比較し、著しく低下していた。また、マウスの脳を解析したところ、LPS経口投与群では非投与群と比較し、マウス脳内のAβ沈着量増加、炎症性サイトカイン(炎症を起こす物質)の産生量増加、LPS濃度上昇が認められ、本研究により、歯周病がアルツハイマー病の病態に与える影響とそのメカニズムの一端を示した。

アルツハイマー型認知症患者の脳内へのAβ(アミロイドベータ)の沈着や老人斑の形成は認知機能障害を発症する15~20年以上前の40歳代前半から始まっている。この年代は我が国における歯周病の発症率が増加する年代と一致することから、同時期の歯周病をコントロールすることでアルツハイマー病発症時期を遅延させたり、発症後の重症化を軽減できる可能性がある。

さらに、これまでの研究により糖尿病がアルツハイマー病のリスクファクター(危険因子)となることが判明しており、また、歯周病と糖尿病の関連性についても相互の相関関係も強く示唆されている。以上のことから,歯周病が糖尿病を悪化させることによってアルツハイマー病の病態を悪化させる可能性も考えられ、歯周病、糖尿病、アルツハイマー病の三者による負のスパイラルが形成される可能性がある。

今後、詳細なメカニズムの解明やヒト介入試験等での検討など、さらにデータが蓄積され両者の因果関係が明確になることによって、歯周病がアルツハイマー病のリスクファクターの一つとして認知されるものと考えられる。

なお、店主は20年以上前より3ヶ月に1回、行きつけの歯科クリニックにて歯の「クリーニング」をしてもらっています。将来、中高年者が定期的に歯のクリーニングをすることが強く推奨され、結果としてアルツハイマー病や種々の生活習慣病の予防につながり、医療費ならびに介護費を大幅に削減できる時代が来るかもしれません。

2019年大晦日 1年の総括

今年は、国内の常連のお客様や海外観光客の方々に支えられた年でした。特に海外からのお客様のご利用が増えました。カレーやおつまみなどを提供するスピードは以前よりは若干早まったとは思いますが、更なる創意工夫によってもっと速くお出しできるものと考えています。新年はカレーの味は勿論のこと、お客様への提供スピードをもっと速くできるよう常に心掛けようと思います。

2019年は世界的には自国第一主義や右派左派ポピュリズムの台頭、米中貿易摩擦、国内的には令和という新たな時代と地球温暖化が進み、台風大型化による災害頻発、そして政治家の不祥事、隠蔽、等々、波乱に満ちた年だったと思います。また、国内消費・内需低迷下における消費増税はお客様方のみならず、我々飲食店にとっても非常に迷惑なことでしたが、この苦境を何とか乗り越えて行く覚悟です。

新年も今までと変わらず、日々、一瞬一瞬、反省と創意工夫を心掛けます。NCカレーの和食文化的メニュー、オリジナルカレー、みそ汁、有機玄米、野菜炒め、ヨーグルトの栄養バランスに優れた独自のセットをより一層国内外の方々に広めることが最大の目標です。2020年、新しい年が世界の人々にとって素晴らしい年にならんことを。

超長寿者が持つ特殊な免疫細胞

日本の研究チーム(理研と慶應医学部)が110歳以上の超長寿者の血液を精査したところ、抗原(がん細胞やウイルス)を認識し、それらを殺す機能を持つCD4陽性キラーT細胞が血液中に多く存在することを発見し、先月、その研究成果を米医学誌に発表したという。通常は血液中にはあまり存在しないCD4陽性キラーT細胞が何故超長寿者には多いのか?非常に興味深い研究成果である。

今後、どういった食事や運動などの生活習慣がCD4陽性キラーT細胞を増やすかの更なる研究成果が待たれるが、日本の長寿者はパンよりはご飯、味噌(みそ汁)、漬物などの醗酵食品、野菜を中心とした食物繊維、ヨーグルトなどの乳製品、適量のお肉、焼き魚などの日常的な摂取が多いようです。

NCカレーはお客様が少しでも元気になれるような栄養バランスを勘案したカレーセットを提供しています。また、カレーの味の面でも反省と創意工夫の日々です。

腸内細菌と運動能力、運動とバランスの良い食事

優れたスポーツ選手の腸内細菌(乳酸の代謝に関わる細菌)をマウスの腸に移植したところ、マウスの運動能力が高まったとの基礎研究成果を米ハーバード大学などの研究グループが今年6月、科学誌に発表した。今後ヒトでの研究成果が待たれるが、非常に興味深い。運動によって腸内細菌叢(そう)が変わることが示唆された。

また、今年(5/14)、WHO(世界保健機関)は認知症予防のための新たな指針を公表した。認知症リスク減少のためには、サプリメントの摂取よりも、定期的な運動禁煙体重管理等のライフスタイルへの配慮がより重要であるとのガイドライン。特にバランスの良い食事飲酒制限社会活動認知症リスク軽減に有効であるとのこと。食事ではイモ類を除く野菜や果物を1日に少なくとも400g摂取することが推奨されている。

中学生のお客様6名でご来店!

NCカレーをオープンして2年4か月経過しましたが、昨日は中学生(おそらく1年生くらい)のみのお客様男女3名ずつ、6名でご来店。躊躇することなくお店に入店されたので何らかの“目的”を持っての利用と推察。皆さん、牛キーマカレーセットを召し上がり、やや小柄なお一人様を除き全員がみそ汁や野菜炒めも含め、キレイに完食(少し食べ残された方も残りを容器に包んでお持ち帰り)。毎日、ホールスパイス(20種類)を挽き、10種類以上の野菜がカレールーに溶け込み、みそ汁も2種類の煮干しで出汁をとり、無添加の長野県産味噌を用いて作っていることを説明。皆、真剣に店主の話を聴いてくれました。

しかも、皆さん、何か日記帳のようなものにメモ書きをされていました。もしかしたら、当店訪問の感想を記していたように思われます。

近くの都立高校生が来店したことはありますが、まさか中学生の方々のみで、しかも団体で利用するとは、やや驚いたと同時に非常に嬉しく思いました。当店のコンセプト、そして食育の重要性をある程度理解頂けたかな(?)と思います。明日の日本を背負った若い皆さん、キラキラ輝き、とても澄んだ目でした。

食の安心・安全

輸入小麦粉(日本は85%を海外から輸入)などに残留農薬として検出されるグリホサートの話題です。グリホサートはヒトに対して国際がん研究機関により「おそらく発がん性のある農薬」とされ、国内ではホームセンターや100円ショップなどで除虫剤として普通に販売されています。

最近、我が国の国会議員の毛髪検査(20数名)を実施したところ、約7割にグリホサートあるいはその分解物が検出され、国会議員の先生方の体内にはグリホサートが蓄積されていた模様です。パン、うどん、パスタ等で使用される小麦粉の多くは海外(カナダや米国中心)から輸入されています。なお、国内で生産される小麦にはグリホサートは使用されていないとのことです。体内蓄積がどういう経路からの摂取なのかは不明ですが、今後の大規模な研究結果が待たれます。

コストの問題もあり、国産や有機栽培の農産物ばかりを使用することは簡単なことではありませんが、少なくともお米などの主食にはより安全なものの摂取を心掛けたいものです。

イスラム教信心のお客様

昨日、初めてイスラム教信心のお客様がご家族5人でお見えになられました。幸い、弊店は豚肉を使ったカレーはないので、皆さんはチキンや牛キーマカレーを注文され、全員きれいに完食されました。大変満足されたご様子でした。

ハラル認証取得は申請手続き上、やや難しい面があるかとは思いますが、カレーに豚肉や豚の油等を一切使用していない(野菜炒めも牛ひき肉使用)ことでイスラム教やユダヤ教を信心されている方々も安心して召し上がれることは幸いです。

認知機能低下を防ぐには?

最近、鯖カレーを新メニューとして提供開始しましたが、お客様の満足度はとても良い感じです。鯖などの青魚にはオメガ3系脂肪酸(くるみなどのナッツ類にも多い)のDHAとEPAが豊富に含まれています。なお、近年、米国で実施された高齢者を対象とした臨床研究結果によると、オメガ3系脂肪酸摂取習慣がある人は認知機能の低下が有意に抑制されていることが判明。さらにMRIの結果でも、認知機能に関与する脳の萎縮が軽減していることが明らかになったとのこと。

また、生活習慣病の代表的なアルツハイマー型認知症発症メカニズムに関する興味深い話題もあります。最近発表された基礎研究(ドイツ)によると腸内善玉菌を増やすと認知症の進行が抑えられるとのこと。アルツハイマー型認知症発症には、今まではアミロイドβとタウという二つの脳内タンパク質が脳神経細胞死を引き起こし、記憶障害などをもたらすと考えられて来た。ところが、脳から遠く離れた腸内の悪玉菌が増えて腸内細菌叢(そう)が変化すると、脳に毒物(サイトカイン等)が届き、認知機能低下につながるとの新たな理論が発表された。腸内善玉菌を増やすことがアルツハイマー型認知症予防につながり得るとの情報です。なお、乳製品に多く含まれる短鎖脂肪酸摂取も認知症予防にプラスに働くようです。ところで、糖尿病の患者はアルツハイマー型、脳血管性認知症発症率が健常人に比較し、各々、1.5倍、2.5倍も高いとのこと。やはり栄養バランスの良い食事が鍵のようです。