毎日、営業時間をはるかに上回る時間を仕込みに掛けていますが、例えば使用する玉葱などの食材の品質(水分の多い新玉ねぎや糖度が高い淡路島産は不向きな場合もあり、北海道産でも産地、時季によって性質が異なります)によってカレールーの味や触感が変わることが少なくなく、仕込みの度に味の調整を色々と工夫しています。8年間の店舗営業中、時季的にカレルー創りに適当な国産玉葱を仕入れ入手できなかったことがありました。その時、止むを得ず某外国産玉葱を購入、使用したのですが、どう調整してもカレールーの味と触感に納得できず、大量のカレールーを廃棄するという苦い経験もありました。
さて、店主はスポーツ観戦から色々なことを学んだり、新たな気づきを経験することがあります(特に大好きなボクシングと大相撲から)。
ボクシングではモンスター井上尚弥選手。過去、フィリピンのドネアとの試合で2R、ドネアの強烈な左フックを被弾し、右目眼底と鼻骨を骨折、右目上も深くカットし、大流血。目がぼやけ、ものが二重に見える状態が最終12Rまで続いたとのこと。3Rには鼻血も。戦いをポイントアウト(相手のカウンターを受けるリスクの大きなKO勝ちではなく、明白な点差をつけて判定勝ちを目指す戦い方)に切り替え、右のガードを高く上げ、右目をかばいながら左ジャブ中心の作戦。11Fにはドネアからダウンも奪い、3-0の判定勝ち。これは井上だからできたこと。
打たれ強いだけではなく、逆境下でも勝つための戦術を短時間で実行に移せる非凡な調整力。さらに、井上はネリ戦と先日のカルデナス戦でも相手の左フックを被弾し、ダウンを奪われたが、その後、両試合共にKO勝利。ダウンする際の倒れ方もダメージを最小限に軽減させるような練習を日頃徹底しているものと思われます。肉体的にも精神的にも非常にタフ、かつ逆境時においても冷静かつ迅速に対応できる優れた判断能力。カウンターの左フックを被弾し易いのはノックアウトを狙う攻撃的スタイルも一因と考えられるが、井上の場合は鮮やかなKO勝利を誰もが観たいということでハードパンチャーの宿命とも言えます。
同じくボクシングの井岡選手。先日のマルティネスとの熱戦。判定で敗れたものの、10Rには左フックでダウンを奪い、何度かヒットさせた左ボディブローでも倒せなかったとは言え、相手はかなりダメージがあったと見ています(本当にもう少しで勝てる試合でした!)。井岡はいぶし銀とも言える戦いぶり。相手のパンチを受けてもダメージを最小限にするクッションのような柔軟性。井岡選手のパンチ力がもう少し強くなれば、年齢を考慮しても、今後もチャンピオンに復帰できる可能性は十分あります。その鍵は背中の広背筋を徹底的に鍛錬することでしょう。さらに、井岡と井上両選手のボクシングIQは両者共に非常に高いと思います。
大相撲では過去には故・横綱千代の富士、嘉風(現・中村親方)、そして今は遠藤、若隆景、大栄翔、横綱・豊昇龍などが好きな力士です。共通点は身体が大きくなくても、また故障や古傷があっても、それをカバーするために毎日、凄まじい稽古、地道にトレーニングを継続できる能力。そして相手によって、また不利な体勢になっても柔軟に対応できる相撲IQの高さ。
また、男子体操の岡選手(昨日のNHK杯では最後の鉄棒で落下した後も落ち着き、冷静に立ち直り、総合得点において僅差で橋本選手を上回り、みごと二連覇達成)、陸上中・長距離女子の田中選手(大柄で男子並みの体力を有する女子外国人選手にも負けない鋼の精神力と豊富な練習量⇒今後ものびしろは十分!)。お二人の冷静な戦いぶり、調整力、凄まじいほどの根性は、いつも深い感動を与えてくれます。
毎日、カレー創りに専念(定休日も頭の中はカレーのことばかり⇒日々の反省点や今後、工夫すべき点を常に考えています)している店主ですが、分野は異なってもスポーツから学ぶ点は多く、仕込み時にも決して妥協することなく、反省と創意工夫の日々です。